条文の構造
労働安全衛生法施行令が就業制限として定めるのは「つり上げ荷重が1トン以上のクレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛けの業務」。主語はクレーンです。荷の重さは一文字も出てきません。
| 使うクレーン | つり荷 | 必要な資格 |
|---|---|---|
| つり上げ荷重2トンの天井クレーン | 100kg | 技能講習(19時間) |
| つり上げ荷重1トン以上 | 何kgでも | 技能講習 |
| つり上げ荷重0.9トン | 何kgでも | 特別教育(9時間) |
理由はシンプルで、玉掛けのミスで起きる事故の大きさはそのクレーンが吊れる能力に依存するからです。軽い荷のつもりでも、掛け方を誤れば1トン級の設備が暴れます。
「つり上げ荷重」はどこを見るか
クレーン本体の銘板・検査証に書かれている値で、フックなどのつり具の質量を含んだ最大能力です。実際に吊れる荷の上限(定格荷重)はここからつり具分を引いた値で、移動式クレーンならジブの長さ・傾斜角(作業半径)でさらに変わります。
ついでに覚える定番:運転する資格と掛ける資格は別物です。クレーン運転士でも、自分で荷掛けするなら玉掛け資格が要ります(そのかわり講習は17時間に短縮)。
特別教育で済むケース・済まないケース
- 職場のクレーンが全部1トン未満 → 特別教育(学科5h+実技4h)でOK
- 1台でも1トン以上がある → その機械での玉掛けは技能講習修了者だけ
- 特別教育しか持っていない人が1トン以上のクレーンで掛けた → 無資格作業。本人にも事業者にも罰則があります
「うちのは全部小さいから」と思っていたら、新しく入った2.8トンのテルハで慣習的に作業していた——という形で発覚するのが典型例です。設備が変わったら資格の棚卸しを。
根拠:労働安全衛生法61条・同施行令20条16号・クレーン等安全規則
講習の中身(19時間の内訳・つり角度と張力・安全係数)は 玉掛け技能講習とは に、学科の定番数値の練習は 練習問題335問 にまとめています。
